2008/10/17 第40回日展工芸審査員夕食会(於 六本木ヒルズクラブ)在りし日の中里蓬庵先生(右から4人目)
日本芸術院会員、日展顧問でもある中里蓬庵(唐津焼13代中里太郎衛門)先生が12日に85歳で亡くなられた。
このことを真っ先に教えてくれたのは友人である中里嘉孝君(中里蓬庵先生の甥・陶芸家)で、
この訃報を私の父に伝えたのだが、同じ日展に所属、また日本芸術院会員まで共に登り詰めたという人生観が近いからか
父には深い悲しみだった。父の名代として弔問することになり、大分に滞在していた私は急遽、福岡から唐津へ向かった。
14代太郎衛門氏は蓬庵先生の長男で私の友人でもある。彼やご家族に見守られながらの先生は、
「古唐津」と題した出版されたばかりの真新しい本、日展での足跡の写真などと共に横たわれていた。
そして、そっと手を合わせ、心をお伝えした。ご家族の皆様とお話もさせて頂いたが、
先生は展覧会審査で東京に滞在され帰られたばかりでの出来事らしく、
ご家族にとっては悔やまれることなのかもしれない。
昨年、今となっては中里先生にとっては最後の「日展」審査となったが、私には初めての審査でもあった。
最年少であり、挙手という審査方法にとまどう自分に先生が私に言って下さった言葉が忘れられない。
「自分を信じて、いい作品に挙手しなさい」当たり前の事なのだが、そのように遂行できたのは先生の助言のお陰だった。
2008年10月17日、長い審査日程を終えて、私の企画で審査員全員が集まっての夕食会を六本木ヒルズクラブで行った。
(通常は様々な諸事情で全審査員が集まれないそうなのだが)、その時の中里先生の嬉しそうな顔が今でも忘れられない。
中里蓬庵先生のご冥福をお祈りしたいと思います。
そしてありがとうございました。
合掌