日展 第4科工芸美術の審査が14日から17日まであった。今回、私は新審査員として、また審査にあたる17名の最年少でもあり、
とてもいい経験をさせて頂いた。場所は東京六本木にできたばかりの国立新美術館、
北海道から沖縄まで約1000点の一般公募の作品ひとつひとつを挙手で判定していき最終的に半数の方が入選する。
言い換えれば半数の方が落選なのだ。とても辛い現実でもあるのだが、一人の作家が一生懸命に制作した作品を我々は見抜こうとする。
何を美とするか任せられた自由なのだが、「審美眼」という言葉のとおり審査員の美意識が問われていることでもあるのだ。
毎日、陶芸、染色、漆、木工、金属、紙などの工芸と称される多種多様な作品を眼にするのだから眼球の奥が疲れたという感覚でもあった。
日展という場では初めての経験であるがゆえに真剣に真摯に臨ませて頂いた。
立場は人を変えていくと言われるが、確かに日展で自らの作品も審査を受けてきたのであるが、
入選とは何を意味するのか明快ではなかった。しかし、今回は多くを学んだ。
公募展に出品するのだから入選の制度は当然のことでもあるのだが、
作家の姿勢(道徳観)が反映された結果が作品の品格として現れくるのではないだろうか。他人をあなどらない。
思いやり。悪口を言わない。子供に言うようなことなのだが、遺伝子はそれに反応していくらしい。
多くの眠っている遺伝子をONにできるのは肯定的にそして客観的に自らを観れることではないだろうか。
選ばれた500点のなかから更に選ばれた10点が特選だ。日展は10月31日から12月7日まで国立新美術館で開かれる。
11月10日、12月7日(他の日程は調整中)私は会場で説明役となっている。